性別適合手術の医療保険、ホルモン治療者には適用されない!?

 

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性別適合手術の医療保険、ホルモン治療者には適用されない!?

2018.03.08

 

お久しぶりになってしまいました。「週間LGBTニュース深堀り!」今週もLGBT関連のニュースをお伝えします。

今回は、週の半ばに判明した、性別適合手術の保険適用に関する新たな事実に関しての概要をお伝えしたいと思います。


 

性別適合手術で当事者大半保険使えず ホルモン療法中は対象外

 


心と体の性が一致しない性同一性障害(GID)の人に対して、4月から公的医療保険の適用が始まる性別適合手術で、自由診療のホルモン療法を受けている場合は、原則として適用対象外となることが5日、関係者への取材で分かった。

出典:山陽新聞デジタル「性別適合手術で当事者大半保険使えず ホルモン療法中は対象外


このLGBTニュースの記事「性別適合手術に保険適用検討へ」でも一度お伝えした通り、厚生労働省が性別適合手術に保険を適用することを検討して来ました。そして、改定により、限られた病院ではありますが、性別適合手術に保険適用が成されることになりました。

しかし、ふたを開けてみると自由診療であるホルモン治療を受けている場合は、性別適合手術には保険が適用されないのだそうです。では、なぜホルモン治療には保険が適用されないのでしょうか。また、ホルモン治療に保険が適用されないことでどのような問題が起こるのかということに関しても深堀りして考えてみたいと思います。


 

自由診療・保険診療・混合診療とは?


まず、ニュースの中で耳慣れない「自由診療」という言葉が出てきたので、こちらの説明からしたいと思います。

自由診療とは、簡単に言うと厚生労働省が認めていない治療や薬を用いた診察のことで、費用がすべて患者の負担になる(保険適用がされない)診察のことです。対して保険診療は、保険が適用される一般的な診察のことです。保険診療において患者は治療費の3割を負担し、あとの7割は保険によって賄われます。

今までの日本では、ホルモン治療・性別適合手術ともに自由診療でした。しかし、今回の性別適合手術の保険適用により、性別適合手術は保険診療として認められるようになります。


そこで起こるのが、混合診療という問題です。

混合診療は、ひとつの病気の治療として保険の適用されない自由診療と適用される保険診療を合わせて受けることです。日本では、今現在混合療法は原則として禁止されています。

もう少し具体的に説明すると、今回のケースでは「性別適合手術に医療保険を適用したいなら、自由診療であるホルモン治療を行ってはいけません。もしホルモン治療を合わせてするのであれば、それは混合診療とみなされるので性別適合手術にも保険が適用できません」となるわけです。

ではなぜ混合診療が禁止されているかというと、“国民皆保険制度”が原因の一つとして挙げられます。みんなが等しく医療を受けるために導入された国民皆保険ですが、もし自由診療と保険診療を組み合わせることが可能になってしまうと、所得の差によって受けることが出来る治療に差が出てきてしまいます。つまりは医療格差が生まれてしまいます。

他にも、自由診療は安全性が必ずしも担保されているものではなく、危険性が保険診療のものよりも高まることや、そのような安全性が担保されない自由診療が原因で更なる体調不良を引き起こした際の国民負担の医療費の増加の問題などが原因です。

 

ホルモン治療の保険適用の行方


ホルモン治療を一時的に辞めれば性別適合手術の保険が適用されるのではないか?という意見も出てきそうですが、ホルモン投与を中断するということは体調面でリスクを伴いますし、最低1年~ホルモン投与を辞めないと審査に通らない可能性の方が高いそうです。

以上の混合診療の問題を鑑みると、解決策はホルモン治療も保険が適用されることと言えますが、今回の改定では両方を保険診療にすることは叶いませんでした。国内で保険が適用される!という事実だけが先に出てしまったので、確かにちょっと残念な気持ちになった人が多いと思います。しかし今回の保険適用により、性別適合手術と切り離すことができないホルモン治療への保険適用も実現に近づいたことは間違いありません。まだまだ時間は掛かるとは思いますが、大きな一歩と言えるのではないでしょうか。



       

WRITERこの記事の投稿者

さのう

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