ゲイをやめたい人たちの存在

 

TOPICSトピックス

2019.02.05
「ゲイの男性は男として男が好き」という説明や「日本も同性婚を認めるべきだ」という主張、どれも多くの当事者からすると自然で合理的なものに思えます。しかし、世の中には「ゲイでなければよかった」と切実に悩んでいる人もいます。今回は実際に僕が話を聞いた「ゲイをやめたい人たち」の決して目立たない、だけど悲痛な叫びについてです。




 

女性と結婚したい



僕が出会った「ゲイでなければよかった」、「ノンケになれるならなりたい」と言っている人たちの多くは女性と付き合った経験があります。女性の匂いや仕草、雰囲気に惹かれて付き合っていた彼らの悩みは、性行為の時に全然彼女に性的興奮を覚えないということでした。


ノンケの男性向け風俗で練習したり、医薬品の力を借りたりなど、様々な努力をしても興奮できず、彼女を落胆させてしまったことを後悔している方も多かったです。


彼らの願いは「女性と結婚して子どもを作って家庭を築きたい」というものでした。いわゆる「伝統的な家族観」と言ってしまえばそうなんですが、僕はそう話す人たちの切実な様子を見ると、とても「そんなのに囚われる必要はないよ」と声をかけることはできません。

 

病気ではないけれど…



ゲイである自分に嫌気がさしている人たちは、「ゲイは病気ではない」という認識は持っていました。実際に「同性愛は病的なものではない」というのは、WHO(世界保健機関)も認めているほどの国際的な共通認識です。一方、カトリックなど宗教的な事情で「ゲイの矯正」を行おうとする動きも時々欧米圏では見られます。


病気ではないゲイですが、「そもそもなぜゲイになるのか?」という答えとして脳の仕組みの違いが国内外の様々な論文や研究で示唆されています。僕が出会ったノンケになりたい人たちは、そのことについても詳しく知っている人ばかりでした。


そして、「確かにゲイは病気ではないけれど、脳の仕組みによるものなら、薬でも手術でもなんでもいいからノンケになれるような技術ができればいいのに」と冗談交じりに笑って話す方もいました。笑っていたけど、どうしようもない思いを抱えて行き詰ったような雰囲気にいまでも僕は上手い返しを見つけられません。

 

一つの答えはない



自治体によるパートナーシップ制度など、LGBT当事者としては歓迎すべき事柄が日本でもたくさん起こっていますが、同時にそれらの諸制度で「救われない人たち」がいることも忘れていはいけないと感じます。



「ノンケになりたいゲイがいる」、この事実は何か一つの問題や答えを提示するものではなく、「ゲイ」を考えるうえで様々な方向に影響を与えるものだと思っています。いつかこの悩みに解決策が出てくるのか、それとも彼らは悩み続けるのか、何もわかりません。だけど、マイノリティ当事者として彼らの存在を決して忘れずにいたい、女性との付き合いを懐かしそうに優しく語る彼らの眼差しを見て僕はそう心に誓いました。

 

WRITERこの記事の投稿者

仲泊

 
ゲイ&ダブルマイノリティのリアル
ゲイとりっぷ!

統合失調感情障害という精神疾患を抱えながら、音楽関連の研究者を目指しているゲイのミュージシャンです。公式ブログもぜひご覧ください!


      
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