ヨーロッパのミュージシャンたちの言葉、「ゲイって言わなくていいよ」の意味とは?

 

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ヨーロッパのミュージシャンたちの言葉、「ゲイって言わなくていいよ」の意味とは?

2019.03.07
本連載を担当している仲泊は、「Nakadomari」名義で音楽活動もしています。日本では日常でなかなか聞かない「アンビエント」や「ニューエイジ」と呼ばれるジャンルの音楽を多く創っているため、どちらかというと海外、特にヨーロッパの人々に多く聴いてもらっています。今回はヨーロッパの音楽仲間たちが度々僕に伝えてきた「ゲイであることを主張しなくていいよ」という言葉の意味をご紹介します。


 

「『ゲイ』って公表しなくてもいいよ」


僕はSpotifyやiTunes Storeなどのほか、SoundCloudというミュージシャンやクリエイターがたくさん利用している音源公開サイトにおいて、プロフィール欄に英語で「日本人でゲイのミュージシャンです」と書いていました。

数年前から「『ゲイ』とか『日本人』ってことはプロフィールに書く必要はないよ」という旨を、主にヨーロッパのミュージシャンたちがメッセージ機能でよく連絡してきました。結局プロフィールはそのままにしていたのですが、彼らと交流を深めるうちに「ゲイであることを公表する意義」が日本とは大きく異なることに気づきました。

日本だと「僕はゲイです」と言うことは勇気が要ることはもちろん、自分に対する評価も変わる可能性のある、とてもソーシャル(社会的)なことです。

一方、イギリスやフランスなどのミュージシャンたちにとって「ゲイである」というのは極めてパーソナル(個人的)な情報、たとえば結婚しているかどうかと同じようなもので、「わざわざゲイって書かなくても、みんなあなたの音楽に興味を持って聴いてくれるよ」というのが彼らの言葉の真実だったのです。

 

パーソナルな「ゲイ」


ヨーロッパのミュージシャンたちは僕のプロフィールの「ゲイ」という言葉について、繰り返し「パーソナル」という言葉を使っていました。では、ヨーロッパでは「ゲイであること」を公表することに社会的、つまりソーシャルな意義はないのかと思い、何人かのミュージシャンに尋ねてみたところ、答えは同じようなものでした。

もちろん「ゲイ」と書くと嫌悪感を抱いてその人の音楽を聴かないというホモフォビア(同性愛嫌悪)の人々もヨーロッパには存在するし、プロフィールにセクシャリティを書くとそういった人々に曲を聴いてもらう機会を失う可能性もある、彼らはそう述べています。

しかし、それよりもやはり彼らは「パーソナルな情報でリスナーを集める必要はない」という主張に重点を置いています。

些細なことですが、それでも僕は彼らとのやり取りの中で「ゲイ」を公表する意義やその捉え方の違いをグローバルな視点で考えてみたいなと強く思いました。

ぜひ皆さんも、「パーソナル」と「ソーシャル」の2つの側面からカミングアウトを見直してみてください。本当はカミングアウトという行為は、僕たちが想像している以上に多様な意味合いを持っているのかもしれません。

 

WRITERこの記事の投稿者

仲泊

 
ゲイ&ダブルマイノリティのリアル
ゲイとりっぷ!

統合失調感情障害という精神疾患を抱えながら、音楽関連の研究者を目指しているゲイのミュージシャンです。公式ブログもぜひご覧ください!


      
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