14. Y.M.C.A./ヴィレッジ・ピープル

 

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14. Y.M.C.A./ヴィレッジ・ピープル

2018.02.04

ベスト・オブ・ヴィレッジ・ピープル

 

こんにちは、マッキーです。

LGBT関連の洋楽アーティストのオススメ楽曲を紹介する『ゆらぎのシラベ♪』、第14回目です。

前回は自ら命を絶ったアーティストであるBilly MacKenzie/The Associatesを取り上げたのでかなり重たい内容になってしまいましたが、今回はその反動で最高にお馬鹿で明るいアーティストを。という事でヴィレッジ・ピープルです。つい

先日レインボーライフ映画部さんの記事で『プリシラ』が取り上げられてるのを見て、その中でPSB(ペットショップボーイズ)の”Go West”を紹介されてしまったので (正直悔しい( >_<。))。こっちはオリジナルの方を、ということで。
 

ではそのPVをどうぞ。

 

 

 

 

はい。どうでしたか?PSBのカバーにあった転調部がなく、かつ三番のサビでキーが半音上がることもなく正直「一本調子」な印象ですね。というか、私は大学生の時にまずPSBのバージョンを先に聴いて「かっこいい曲やな。オリジナルはどんな感じなんだろ?」と後からこっちのオリジナルを聴いて思わずのけぞった記憶があります。

 

ちなみにPSBがこの曲をカバーしたきっかけは、元々デレク・ジャーマン(1994年にAIDSで亡くなったオープンリー・ゲイの映画監督。PSBとは生前PVを監督するなど交流が深かった)から、「マンチェスターでAIDS関連のチャリティー・イベントを開催するからライブをやってくれない?」と頼まれたことだそうです。その際に何か新しいカバー曲を演ろうという話になって、ボーカルのニール・テナントは「ビートルズの”Fool On The Hill”なんかいいんじゃないかな」と考えていたのですが、相方のクリス・ロウが「ヴィレッジ・ピープルのこの曲を演ることにしたから」と言って”Go West”を聴かせたところ、ニールは思わず「こりゃ酷い。信じられないぐらいひどい」と口に出してしまった、とのこと。

それに対してクリスは「とにかくこれを演るから。大丈夫、きっと気に入るって」とあっさりスルー。で、実際にクリスがアレンジした音源をニールに聴かせる時に「コード進行がパッヘルベルのカノンと一緒だろ?」と指摘。それを聞いたニールは「確かにそうだね…うん、これならいいかも」と納得した、と。メデタシメデタシ(*^-^*)。いや、PSBの話ばかりしててもアレなので、そろそろアーティスト紹介をば。



 

Village People / アーティスト紹介

 

1977年ニューヨークにて結成。メイン・ボーカルのヴィクター・ウィリスを中心に、ダンサーのフェリペ・ローズやバック・ボーカルのアレックス・ブレイリーなどからなる6人組。フランス人の音楽プロデューサーのジャック・モラリが「ゲイを象徴するグループを作ろう」と思って、メンバーを募集。その結果”インディアン”や”カウボーイ”といったコスプレの5人+”ポリスマン”のコスプレのメイン・ボーカルというスタイルが出来上がる。なお、初代”ポリスマン”のヴィクター・ウィリスはゲイではない(結婚もしている)。その他のメンバーは流動的であるが、”インディアン”フェリペ・ローズと”GI”アレックス・ブレイリーは結成当初から現在までずっとメンバーのままである。1985年に一度解散するが1987年に再結成、現在も活動中。

 

ということでヴィレッジ・ピープルですが、実際のところ代表的なヒット曲と言えば”Y.M.C.A”と”In The Navy”と”Macho Man”の3曲しかありません。先述の”Go West”もイギリスでは15位でしたがアメリカでは45位という。そのいずれもが1977年から1979年の間、つまり初代ポリスマンのヴィクター・ウィリスが在籍していた時期の曲です。元々ヴィクターは教会の牧師さんの息子で、ゴスペルがベースにあるシンガーなんですね。かつ、ヴィレッジ・ピープルに参加する以前にはブロードウェイのミュージカルに出演していたこともあるとのこと。さらに作詞作曲もこなす彼の存在こそが、ヴィレッジ・ピープルの音楽の要だったのかも知れません。



 

ヴィレッジ・ピープルのヒット曲

 

では1978年に全米で25位という、彼らにとって初のヒット・シングルとなった”Macho Man”のPVを。

 

 
 


 

単なるネタ・ソングではなく、流麗なストリングスや派手なブラス・セクションなどのアレンジがパワフルなボーカルと拮抗している辺り、かなり職人的な仕事を感じさせます。歌詞はまあ、”アホ丸出し”ですが(^_^)。

 

次に、1979年に全米3位・全英2位となった”In The Navy”を。

 


はい。”海軍いいとこ、一度はおいで”という歌ですね。なんで「海軍」なのかというと、もともとゲイを意味する隠語として”sailor(=水兵・船乗り)”というのがあるみたいで。ちなみに、”gay” “sailor”で検索するとこんな記事にヒットしたりします。

wikimoon「Homosexuality in Sailor Moon

 

……セーラームーンって、海外のLGBTにすごく人気があるんですね、知らなかったなあ(遠い目)。個人的にはセーラームーンはよく分からないです。なんか、「性別ステレオタイプの再生産」を前提とした表現のような印象が強くて。プリキュアは初めて観た時にすごく「ジェンダー・フリーだなあ」って感心したんですけど。あ、児童養護施設で働いてた時の話ですよ、念のため。

 

閑話休題。ヴィレッジ・ピープルの最大のヒット曲にして、現在でも歌い継がれるゲイ・アンセム”Y.M.C.A”を。

 



1979年に全米2位・全英1位になった大ヒット曲です。日本では西城秀樹が『YOUNG MAN』としてカバーしていました。小学生の時に運動会でこの曲(ヤングマンの方)に合わせて体操みたいなのさせられたの、今でもはっきりと覚えてます。その時は「あー、めんどくさいわ。なんでこんなんせなあかんねん!?」としか思わなかったんですが、大人になった今この曲(Y.M.C.A の方)を聴くと「…なんていい曲なんだろう☆」って感動してますからね。歳を重ねることで、物の感じ方や受け取り方が変化するのはいい事ですよね。成長や進歩の証だと思います。

 

歌詞に出て来る 「Y.M.C.A」というのは、Young Men’s Christian Association=キリスト教青年会の略で、普通に日本にもあります。スイミングスクールを運営してたり、ホームレスの人を福祉事務所に連れてきてくれたりと、様々な活動を行っている民間組織です。で、それを若いゲイの男性に向けて「一人で悩むのは止めてY.M.C.Aにおいでよ、たくさんの仲間と出会えて楽しい時間を過ごせるから」って宣伝(?)している歌です。

 

で、ここで”Go West”の話に戻るんですが、PSBのクリス・ロウはこう語っています。「この曲をニールが歌うことでhopeless(=絶望的)な響きが生まれると思った。ゲイのユートピアについて歌った曲だけど、実際にはそうならなかった訳だから」と。確かに多くのゲイが「西(=サンフランシスコ)」を目指すことでそこにゲイのコミュニティが生まれた、しかしそのことが逆にAIDSという病の局地的なパンデミックを招くことにも繋がり、それによってゲイのユートピアという幻想は打ち砕かれてしまった、というニュアンスのことなのかな、と。

 

今ではもうAIDSは治療薬の開発によって不治の病ではなくなっていますし、同性間に限らず異性間の性行為においても感染のリスクがあることは常識となっています。が、PSBが”Go West”をリリースした1993年においては状況は今と全く違っていました。かつ、”Go West”という言葉を辞書で引くと、そこに「天国に行く、死ぬ」という別の意味があることに気付くでしょう。実際に先述のデレク・ジャーマンは1994年に、クリス・ロウの恋人(と噂されている)Peter Andreasも同じ年にAIDSで亡くなっています。それを踏まえてPSBの”Go West”のPVを観返してみると…「天国への階段」をみんなで登っている(!)のが分かります。

 

 


 

いやあ……クリス・ロウ恐るべし。で、PSBがそういう意図でカバーしてしまったことで、この曲はオリジネイターであるヴィレッジ・ピープルが全く意図しなかった”皮肉な”意味合いを孕んでしまった訳ですが。一方”Y.M.C.A”はどうかと言うと、全くその逆で現在でも色んなスポーツ関連のイベントで流されたりして、LGBTの枠を超えた「みんなのうた」として親しまれています。その違いはどこにあるのかというと…”孤独に打ち克つためには、仲間との間の連帯/結び付きが必要だ”というメッセージの持つ普遍性なのかな、と思います。

 

結局、”お馬鹿で明るい”どころかやっぱり重たい話になってしまいましたが(悪いのはワタシじゃなくてPSBのせいだ、きっとそうに違いない(# `Д´))。最後に元ヴィレッジ・ピープルの二代目カウボーイこと、Randy Jonesが歌うPSBのカバー”New York City Boy”と、何とボーイ・ジョージ(!)による”Y.M.C.A”のカバーを。前者は正直カラオケ・ショーの域を出ていませんが、後者はここに至るまでの彼の波乱万丈の生き様を振り返ると…「よくぞサヴァイヴしてくれた」という感慨がこみ上げてきます。では。
 

 

 




 
 

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マッキー

生まれは京都。でも魂のふるさとはイギリス北部(たぶん)。
渚カヲルに似てると言われたことがある。「歌はいいねえ。」

  

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マッキー

ゆらぎのシラベ♪

生まれは京都。でも魂のふるさとはイギリス北部(たぶん)。渚カヲルに似てると言われたことがある。「歌はいいねえ。」

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