「SOGI」 をナナメ読み

 

TOPICSトピックス

2018.02.28

 

 
 こんにちは、はじめましての方ははじめまして、「LGBTsナナメ読み!」を担当させていただいている古怒田です(「ナナメ読み」についてはこちら)!

  今回は「SOGI」についてナナメ読みしてみたいと思います。
 

 

SOGIとは?

 
 SOGIについては皆さんもご存知かもしれませんが、もう一度ここで確認しておきたいと思います。SOとは「性的オリエンテーションsexual orientation」、つまり「誰かを好きになる仕方を」意味します。他方、GIとは、「性的アイデンティティgender identity」、つまり「自分の性を引き受ける仕方」を意味します。

 この二つの区別から、例えばゲイで一般に「オネェ」と呼ばれる方々が、「性的オリエーション」において、つまり同性愛という意味で問題となるのであり、「性的アイデンティティ」はシス男性と変わらないものであることを示すことができます。つまり、ゲイ、レズビアン、バイセクシャルは「誰かを好きになる仕方」(SO)の問題であるのに対して、トランスジェンダーは「自分の性を引き受ける仕方」(GI)の問題として区別することができます。
 同時に、SOGIはだれでも持つもの(たとえばシス女性は男性を好きになるという性的オリエンテーションを持ちます)と言う意味で、マイノリティとマジョリティの垣根を越えた言葉として捉えることができます。
 
 

絡み合った関係性

 
 けれども、「誰かを好きになる仕方と」、「自分の性を引き受ける仕方」はそこまではっきりと区別することができるでしょうか?
 このような問いに対して、トランスジェンダー研究者のゲイル・サラモンは以下のように述べています。
 


「性的オリエンテーションと性的アイデンティティが徹底的に分けることが可能なこと、またそう徹底的に分けるということを強調すると次のような仕方が見過ごされてしまう。それは、たとえこの性的オリエンテーションと性的アイデンティティという二つのカテゴリーが相互的に構成しあわなかったとしても、この二つのカテゴリーが相互的に関係しあっている仕方である。すなわち、あるひとの欲望の向く先がそのひとのジェンダー「によって」予想することができないとしても、そのひとの欲望がそのひとのジェンダーを「とおして」体験されていることははっきりとした事実である[…]。」

(cf. Gayle Salamon,Assuming A Body,Columbia University Press [2010]p.127)

 
 確かに、ある人が男性であるからといってそのひとが好きになるひとが女性であるとは限りません(「あるひとの欲望の向く先がそのひとのジェンダー「によって」予想することができない」)。けれども、誰かを好きになるときそのひとのジェンダー、つまり性的アイデンティティがその好きになる仕方に、何らかの形で、影響していることは否定できないように思います。というのも、そのひとの性的アイデンティティをとおして、誰かは誰かを好きになるからです(「そのひとの欲望がそのひとのジェンダーを「とおして」体験されていることははっきりとした事実である」)。

 ボク自身、他者との性愛関係の中で、自分の「性的アイデンティティ」を見つめなおし、今のジェンダー・クィアというあり方で自分の性を引き受けています。そう考えてみると、「性的オリエンテーション」と「性的アイデンティティ」には何かしらの含みあいがあると考えることができます。
 

 

新しい言葉を

 
 もちろん、同性愛者、バイセクシャルとトランスジェンダーの問題の違いをはっきりさせるために、SOGIという言葉はとても大切です。
 けれども、「性的アイデンティティ」は決して個人の人生で完結するものではありません。家族、親族、友人、パートナーといった「関係性」のなかで変化してゆきます。例えば、誰かを好きになり、その好きな人が好むようなあり方に自分の「性的アイデンティティ」を変えることは起こりうることです。
 他方で、誰かを好きになる仕方も、自分が自らの性をどう引き受けるかで変化する可能性があります。自分のアイデンティティが変化してゆけば、おのずと、好きになる仕方も変化してゆくかもしれません。

 こう考えてみると、私たちは「性的アイデンティティ」と「性的オリエンテーション」とは別の言葉が必要であることがみえてきます。
 それは何なのかまだボクのなかでも答えはでていません。
 先のサラモンの言葉にあったように「欲望」、言い換えれば「セクシャリティ」という言葉が「性的アイデンティティ」と「性的オリエンテーション」をつなぐ一つの仕方なのかもしれません。
 ともあれ、LGBTsは型どおりの言葉とは違った自分たちを物語る新しい表現方法を模索してゆく必要があるのだと思います。
 

 

WRITERこの記事の投稿者

古怒田望人

LGBTsナナメ読み!

ジェンダークィアのパンセクシャル。都内で、マジョリティ、マイノリティの垣根を越えて性を共有する哲学サロン「ふらてるにて」を運営。
 

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