性同一性障害(GID)とは?〜定義・意味や、性同一性障害特例法について〜

 
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性同一性障害(GID)とは?〜定義・意味や、性同一性障害特例法について〜

2017.09.13


多くの人が一度は聞いたことがあるであろう性同一性障害という言葉。
 
皆さんは性同一性障害についてどのくらい知っていますか。よく知っている方からあまり知らない方まで、様々だと思います。ここでは「性同一性障害」について詳しく説明します。


 

性同一性障害(GID)とは

 


性同一性障害(せいどういつせいしょうがい、英:Gender Identity Disorder, GID)・性別違和は、出生時に割り当てられた性別とは異なる性の自己意識(Gender identity、性同一性)を持つために、自らの身体的性別に持続的な違和感を持ち、自己意識に一致する性別を求め、時には身体的性別を己れの性別の自己意識に近づけるために医療を望むことさえある状態』をいう医学的な疾患名。やや簡潔に『性同一性(心の性)と身体的性別(身体の性、解剖学的性別)が一致しない状態』とも説明されている。”

出典:Wikipedia 性同一性障害


Wikipediaによると、性同一性障害の定義は上のようになっています。
 
性同一性障害は医学的な診断名です。定義の最後に書いてある「性自認(心の性)と身体的性別(身体の性、解剖学的性別)が一致しない状態」を表す際に使用されることもありますが、当事者がそういった状態を表す際には性同一性障害より「トランスジェンダー」という用語が使われます。
 
性同一性障害を英語でいうと、Gender Identity Disorderになるので、その頭文字をとって「GID」と呼ばれることもあります。性同一性障害の診断を受けていることを「GID診断を受けている」などと言ったりします。


 

性同一性障害の診断について

 
性別違和が強く、自身の身体を自認する性に近づけたい場合は、ホルモン治療や性別適合手術を受けます。性別適合手術などを受けるためには、病院で医師に性同一性障害と診断してもらう必要があります

しかし、性同一性障害の診断を受けるまでには、一定程度時間がかかります。何度もカウンセリングを繰り返し、自分自身について色々と医師に話をしなくてはなりません。過去のことを思い出して話をすることになるため、辛かった記憶を掘り起こさなくてはならなかったりもするそうです。

性別適合手術を受けたくても、すぐに性同一性障害の診断が受けられるわけではないため、手術を考えている場合にはある程度時間がかかることをあらかじめ知っておく必要があります。


 

性同一性障害の診断を受けている芸能人

 
昨今、テレビでは「オネエタレント」が毎日のように登場し、セクシュアルマイノリティの世間的認知は少しずつ高まってきている気がします。
 
しかし、テレビを見ている人の多くは「オネエタレント」というざっくりしたくくりの中に含まれている人それぞれのセクシュアリティまでは理解していないように思います。
 
テレビでよく見るタレントさんの中で、以下の方々は性同一性障害の診断を受けています。
 
 

はるな愛さん


 はるな愛さんは、本名が「大西賢示」であることを公表して活動をしているため、性同一性障害であることを知っている方が殆どでしょう。彼女の場合、性別適合手術を受け、女性らしい身体を手に入れています。要件を満たしているため戸籍の変更も可能ですが、はるな愛さんはまだ行ってないそうです。
 
 

KABA.ちゃん(樺島一華さん)


KABA.ちゃんは比較的最近性別適合手術を受け、女性らしい身体と見た目を手に入れ、声帯手術をして声も変えたそうです。若槻千夏さんとの対談動画で、手術についても語っていました。彼女も手術を受けているので、性同一性障害の診断を受けています。
 
 

GENKINGさん


GENKINGさんは今年1月に自身のInstagramで、性同一性障害の診断書の画像と共にご自分のセクシュアリティをカミングアウトしたことが記憶に新しいですね。「私のオカマは病気です」というタイトルから始まったこのInstagramの投稿。GENKINGさんのこれまでの苦悩が感じられる内容で、胸が苦しくなりました。
 
 
 

性同一性障害の登場人物が出てくる映画



 
「性同一性障害の意味を知るだけでは、実際に性同一性障害の診断を受けている方がどう感じているか想像できない。」

そんな方は、まずは映画やドラマを見ることから始めてみるのもいいかもしれません。というわけで、性同一性障害の登場人物が出てくる映画やドラマを少し紹介してみようと思います。


※この内容は一部ネタバレを含みます。あらかじめご了承下さい。
 
 

リリィのすべて


 
この映画は、男性自認だった方が、画家の妻のモデルとして女性物の衣類を身にまとったことをきっかけに、自分の中の女性性に気付き、女性として生きるため、世界で初めての性別適合手術に臨むという物語です。
 
この物語で描かれている「リリィ・エルベ」さんは、実在した人物です。
 
性別適合手術が行われたことがない時代だったので、当時は多くの病院で「性同一性障害」が一般的でなく、「生物学的性と性自認が一致しないこと」が精神疾患として扱われていました。そのため、映画の中のリリィさんは様々な病院から「精神異常者」として拘束されないように逃げ回っていました。
 
それでもパートナーと共に医師を探し続け、手術に臨むリリィと、リリィの望みを叶えるために本気で協力するパートナーのゲルダの姿がとても印象的でした。性別を超えた二人の愛に何度も泣きそうになりました。
 
 

彼らが本気で編むときは


 「彼らが本気で編むときは」は、生田斗真さん演じるMtF女性(リンコ)と彼女のパートナー(マキオ)、そしてパートナーの姪っ子(トモ)を取り巻く変化を描いた物語です。
 
母子家庭で、母が家を空けることも多い環境で育ったトモが、リンコからたくさんの愛情を受け、二人の絆が深まっていくのを見ていると、とても心が温まりました。

リンコは性同一性障害の診断を受け、性別適合手術も全て完了し、戸籍の性別のみ未変更という状態のトランスジェンダー女性でした。彼女の周りには彼女のトランスジェンダー/性同一性障害という要素にフォーカスし、彼女に対して冷たい視線を向ける人もいました。
 
そんな中でも、リンコに対する周囲の偏見と本気で戦って、リンコを守るトモの姿がとても感動的であり、リンコを性同一性障害者やトランス女性としてではなく、「リンコという一人の人」として見ているそんなトモの姿が本当に素敵でした。
 
大人になるにつれて、性別や学歴、職歴や肩書きなどがどんどん増えて、目の前にいる誰かを純粋に「その人」として見ることが難しくなりますが、相手を単純に「その人」として見ることの大切さを思い出させられた気がします。
 

 

性同一性障害の登場人物が出てくるドラマ

 

金八先生



映画以外に、ドラマでも性同一性障害の登場人物が出てくるものがあります。最も有名なのはやはり「金八先生」ではないでしょうか。

性同一性障害がテーマの1つとなった第6シリーズで登場したFtMトランスジェンダーの鶴本直。これまでに会ったトランスジェンダー当事者の方の中にも「金八先生の鶴本直をみて、自分はこれだ!と思った」という方が何人もいます。

ドラマの中で、直はクラス全員の前で自身のセクシュアリティをカミングアウトします。シリーズの最後にはクラスメイト全員が直の性自認を認めていました。

性同一性障害という要素ではなく直の人間性に目を向けて彼を支えるクラスメイトの姿がとても暖かくて印象的でした。

金八先生のような有名なドラマで性同一性障害を扱った影響は大きく、これをきっかけに性同一性障害という言葉や、性同一性障害の存在を知った人もかなり多いようです。


 

性同一性障害の原因

 
一説によると、お腹の中にいたときのことに原因があると言われています。

人の性別は、まず身体の性別から決まります。遺伝子がXXであれば女性に、XYであれば男性の身体に成形されます。心の性別がどう決まるかは残念ながら明確に判明しておりませんが、脳が大きく影響しているのではないかと言われています。また、その説の中では、妊娠20週のあたりで男性ホルモン(テストステロン)が多いと脳中枢が心の性を男性と認識し男性ホルモンが少ないと女性として心の性を認識すると言われています。

つまり、男性の身体を持ちながら男性ホルモンが少ないと心の性は女性として認識されてしまいます。その逆も同じです。これが性同一性障害の仕組みではないかと言われています。

しかしながら、性同一性障害の原因はまだはっきりとは解明されていません。
 

 

性同一性障害特例法




性同一性障害に関する法律で「性同一性障害特例法」というものがあります。この法律は2003年に成立し、2004年から施行されたもので、その内容は以下のようになっています。
 
 
“性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律
(平成十五年七月十六日法律第百十一号)


最終改正:平成二三年五月二五日法律第五三号
 
 
(趣旨)
第一条  この法律は、性同一性障害者に関する法令上の性別の取扱いの特例について定めるものとする。
(定義)
第二条  この法律において「性同一性障害者」とは、生物学的には性別が明らかであるにもかかわらず、心理的にはそれとは別の性別(以下「他の性別」という。)であるとの持続的な確信を持ち、かつ、自己を身体的及び社会的に他の性別に適合させようとする意思を有する者であって、そのことについてその診断を的確に行うために必要な知識及び経験を有する二人以上の医師の一般に認められている医学的知見に基づき行う診断が一致しているものをいう。
(性別の取扱いの変更の審判)
第三条  家庭裁判所は、性同一性障害者であって次の各号のいずれにも該当するものについて、その者の請求により、性別の取扱いの変更の審判をすることができる。
一  二十歳以上であること。
二  現に婚姻をしていないこと。
三  現に未成年の子がいないこと。
四  生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること。
五  その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること。
2  前項の請求をするには、同項の性同一性障害者に係る前条の診断の結果並びに治療の経過及び結果その他の厚生労働省令で定める事項が記載された医師の診断書を提出しなければならない。
(性別の取扱いの変更の審判を受けた者に関する法令上の取扱い)
第四条  性別の取扱いの変更の審判を受けた者は、民法 (明治二十九年法律第八十九号)その他の法令の規定の適用については、法律に別段の定めがある場合を除き、その性別につき他の性別に変わったものとみなす。
  前項の規定は、法律に別段の定めがある場合を除き、性別の取扱いの変更の審判前に生じた身分関係及び権利義務に影響を及ぼすものではない。


(施行期日)
  この法律は、公布の日から起算して一年を経過した日から施行する。
(検討)
  性別の取扱いの変更の審判の請求をすることができる性同一性障害者の範囲その他性別の取扱いの変更の審判の制度については、この法律の施行後三年を目途として、この法律の施行の状況、性同一性障害者等を取り巻く社会的環境の変化等を勘案して検討が加えられ、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置が講ぜられるものとする。
  国民年金法等の一部を改正する法律(昭和六十年法律第三十四号)附則第十二条第一項第四号及び他の法令の規定で同号を引用するものに規定する女子には、性別の取扱いの変更の審判を受けた者で当該性別の取扱いの変更の審判前において女子であったものを含むものとし、性別の取扱いの変更の審判を受けた者で第四条第一項の規定により女子に変わったものとみなされるものを含まないものとする。


(施行期日)
  この法律は、公布の日から起算して六月を経過した日から施行する。
(経過措置)
  この法律の施行の日前にされたこの法律による改正前の性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律第三条第一項の規定による性別の取扱いの変更の審判の請求に係る事件については、なお従前の例による。
(検討)
  性同一性障害者の性別の取扱いの変更の審判の制度については、この法律による改正後の性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律の施行の状況を踏まえ、性同一性障害者及びその関係者の状況その他の事情を勘案し、必要に応じ、検討が加えられるものとする。

附 則 (平成二三年五月二五日法律第五三号) 


 この法律は、新非訟事件手続法の施行の日から施行する。 “

(出典:性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律

 

上記の法律の第三条に記載されているのが、性同一性障害の診断を受けた方が戸籍上の性別を変更する際に満たさなくてはならない要件です。性同一性障害特例法について議論する際、それぞれの要件を以下のように呼ぶことがあります。
 
「二  現に婚姻をしていないこと。」⇒未婚要件
「三  現に未成年の子がいないこと。」⇒子なし要件
「四  生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること。」⇒手術要件
「五  その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること。」⇒手術要件
 
この要件は、先進国の中は異常に厳しい内容です。
 
この要件が設けられていると、結婚してから自分の性をはっきりと自覚し、性同一性障害の診断を受け、戸籍の性別を望む性に変えたいと思った人は、配偶者と婚姻関係を解消する必要があります。

また、子供ができてから性自認が揺らぎ、性同一性障害の診断を受けて戸籍の性別変更を望んだ人がいても、自分の子が成人するまで、社会的に自分の望む性で生きることができません。
 
加えて、手術によって命を危険にさらし、子供を産めない体にしないといけません。

 
シスジェンダー(生物学的性と性自認が一致している人)でヘテロセクシュアル(異性愛者)の人々に認められているいくつもの権利が、トランスジェンダーや性同一性障害の診断を受けている人には認められていない。
 
手術要件にいたっては、本人の命に関わることです。「人の命」は一度なくなったら二度と取り戻せません。

性別適合手術(SRS)に保険が適用されることになりましたが、それも3つの病院のみであり、手術希望者のニーズを満たせるかどうかは技術的にも時間的にもわかりません。日本以外の国で手術を受けようと思ったら、数十万のお金を実費で負担しなくてはなりません。
 
海外では、戸籍の性別変更に医師による性同一性障害の診断を必要としない国もあります。日本は性同一性障害の診断を必要とする上に、上記で述べたような様々な要件をトランスジェンダーの方に課しています。冒頭でお話ししたように、性同一性障害は診断を受けるのも簡単ではありません。辛かった経験も思い出しながら、医師による長期間のカウンセリングを受けてはじめて性同一性障害の診断を受けるのです。

以上のことを考慮すると、日本の性同一性障害特例法は性同一性障害の診断を受けているトランスジェンダーの人にとっても、受けていないトランスジェンダーの人にとってもあまりに厳しいものであると言わざるをえません。本当は、医師からの性同一性障害の診断などがなくても、誰もが「なりたい自分になれる」社会を目指すべきなのではないかと思います。


 

まとめ

 
性同一性障害やトランスジェンダーに関して、今の日本には解決すべき課題がたくさんあります。戸籍の問題から、学校での問題、職場での問題など、ライフステージにおいて重要なポイント毎に様々な問題があります。他のセクシュアリティに比べて、トランスジェンダーの方の自殺率が高いことがこれらの問題の深刻さを物語っています。

これらとしっかり向き合って、心ない言葉に傷つく人や、自ら命を絶ってしまう人が一人でも減るようにしなくてはなりません。
 
これは国として、社会として取り組むべき課題です。「日本」として性同一性障害やトランスジェンダー、そしてセクシュアルマイノリティの課題に取り組める日が一日も早く来ることを切に願います。


【おまけ】
ちなみに、この記事では性同一性障害の他に「トランスジェンダー」という言葉もたくさん出てきました。この「トランスジェンダー」についてもっと詳しく知りたいという方は、「トランスジェンダーとは?〜性同一性障害との違い・トイレ問題など〜」という記事もぜひ読んでみて下さい。

こちらの記事でもた性同一性障害について少し触れているので、トランスジェンダーと性同一性障害の違いなどについて知りたい方にはオススメです。

「トランスジェンダーとは?〜性同一性障害との違い・トイレ問題など〜」はこちらから

※定義以外の部分は、あくまで個人の意見です。

WRITERこの記事の投稿者

山梨


アライ日記


ストレートアライ。幼少期に男子のような洋服を好んで着ていたため、男子によく男子に間違えられていた。最近では、文京区にて交流会を開催中

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