児童書 ぼくたちのリアル

 

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児童書 ぼくたちのリアル

2018.04.03
 
 
  
こんにちは!大学を卒業して1年が経過した「ゆうじボーイ」です。
 
4月からは職場内での担当が変わり、一般来館で来る子どもの相手をする児童室担当ではなく、親が就労などで家庭にいない子どもが放課後を過ごす「学童クラブ室」の担当職員になりました。
これからは保護者対応業務が増えてくるので、人としては大いに成長できそうだけど気苦労が増えそうです。
 


 
 
 
今回取り上げる本は、小学校高学年向け青少年読書感想文全国コンクールの課題図書にも選ばれた作品。
 
この本にはゲイが登場するということを知り、すぐに入手して読みたいなと思いました。探していたところ、なんと職場の図書室に在架していることを発見!
以前も書きましたが、ぼくの職場の図書室は下町にある小さいところなので、そんな場所でも見つけられるということで一気に親近感が湧くのです。
 
速攻で読んで、早速この記事で取り上げることにしました。今回ご紹介する本はこちらです!


 
ぼくたちのリアル
 
ぼくたちのリアル
2016年6月8日 初版発行
著者 戸森しるこ
発行 講談社


 

この本を読もうと思った理由

 
ぼくが子どもの頃、学校の教室では「お前ホモだろ!気持ちワリいなぁ~」的な言葉が周りに飛び交っていました。子どもはときに残酷。人が傷つく言葉をストレートに口に出します。
 
ゲイは自尊心が低い傾向にあるとよく耳にしますし、子どもの頃からアイデンティティを否定され続けてきた影響というのは意外に大きいのではないかと思います。
 
 
子どもは同性愛への理解に乏しいところがあります。それは単に同性愛に対する知識を適切に教えてもらったり自分で考えたりする機会が少ないからです。生まれた瞬間から、「ホモなんか気持ち悪いからキライだー!!」なんて言う赤ちゃんはいません(笑)
 
そのため、ゲイが登場する本を媒体にして子どもと一緒にゲイの存在について考えるきっかけを持つことはとても大切なことなのかなと思います。割合としてクラスに1~2人はLGBTだという事実をまずは多くの人に知ってほしいです。
 
 
今回読んだ『ぼくたちのリアル』は、読書感想文の課題図書です。多くの子どもが本書を手に取って、LGBTについて思いを馳せるきっかけになるかもしれません。この本を読んだ子ども、もしくは子どもと関わる立場にいる大人に何かヒントを得てもらえたらと思います。
 


 

あらすじと内容

 
本書は全226ページです。児童書のため文字が大きく、比較的読みやすい文体だと思いました。
 
あらすじは以下の通り。

 


 “そいつの名前は秋山璃在(リアル)。スポーツ万能。性格良好。顔がかっこよくて、気もきくから女の子にももてる。勉強も絵も書き初めも、カラオケだって、何をやらせても誰よりもできてしまう学年イチの人気者。幼なじみの渡(わたる)は、平凡な自分と比べて、そんな璃在(リアル)に昔からコンプレックスを感じていた。しかし、小学5年生の新学期、美しい転校生の来訪によって、運命の日がやってきたのだった。人気子役との恋がこじれた合唱祭、リアルの家族の悲しい過去、サジへのいじめ……。それぞれ助けあいながら、三人は次第に友情を深めていく。
出席番号一番、秋山璃在。二番、飛鳥井渡。三番、川上サジ。三人ですごした五年生の春と夏の思い出。ぼくたちは、少しずつちがう。だから支え合える。三人の少年の忘れられない夏の友情物語。 ”

出典:amazon ぼくたちのリアル



小説の主な舞台は学校で、メインキャラクターは小学5年生の男子3人。それぞれが友人関係や家族関係で悩みや秘密を抱えており、その悩みを乗り越えていく過程で3人の関係性も変化していきます。
 
詳しい内容が気になる方はぜひ読んでみてください!
 

 

ゲイ視点で読んでみた感想(*一部ネタバレを含みます)

 
この本を読んで一番に気づいたのは、文章の中で「ゲイ」「男性同性愛」といった直接的にセクシャリティを表現する単語が使われていないことについてです。ただ単に、男の子のキャラクターが男の子を好きになった、という事実があるだけ……。
 
この表現の仕方は何の意図があるのでしょうか?
 
――という疑問は筆者に直接質問しない限り分からないままですが、ぼくの感想としては「国語の教科書の問題として使われそう」な文章だなと思いました。文脈で読み取って、あとは読んだ子どもや教師に解釈を任せるといった感じ。
 
 
ゲイの男の子は、結局好きになった男の子とは結ばれませんでした。そもそも自分の口から告白もしておらず、周りの友だちから「(恋愛的に)好き」だという気持ちを伝えられている。
恋愛は成就しなかったけれども友情関係は続く、といった締めくくりで物語は幕を閉じます。
 
この小説はゲイ・男性同性愛というセクシャリティに関しては否定していないし肯定もしていないのではないでしょうか。読み込みの程度によっては、登場人物たちの感情がよく分からず「?」な状態で終わってしまうこともありそうです。
 
本書を読んだあと、いろいろな人と感想を共有したり考察の一例を紹介し合ったりして、物語の意味・メッセージを深めていけたら良さそうだなと感じました。
 
 
最後に1点。この小説に登場するゲイの男の子が「女の子みたいにきれいな子」という設定なのが少し気になりました。間違ってすべてのゲイがきれいな顔立ちをしているという先入観を持たないよう、「美形なゲイは稀な存在だよ」というメッセージを子どもたちに伝えたいです(笑)。
 
 

 
ぼくは日々子どもと関わる機会を持っていますが、それでも子どもとLGBTについて語る機会はまったくと言ってよいほどありません。子ども同士では「(同級生の)○○はホモらしいよ」といった話をしている場面をたまに見かけますが……。
 
今回取り上げた本などを会話の糸口のための道具として使い、子どもとLGBTについて話す機会を作れたら理想的です。ただ、実際の現場でうまく話を回していくのはなかなか難しそうに思われます。
ぼくも機会があったらやってみますが、この記事を読んでくれた教育関係の人にもぜひ子どもたちとのLGBTトークに挑戦してみてほしいです(笑)

 
 

WRITERこの記事の投稿者

ゆうじボーイ


ゲイの図書館

児童館に勤めています。仕事もほぼ遊び、休日も遊びの日々。
男性が大好きです。好きなタイプはアナウンサーっぽい誠実な人。

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