LGBT映画祭「第27回レインボー・リール東京」で見るべき映画はコレだ! オススメ3作品をレビュー

 

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LGBT映画祭「第27回レインボー・リール東京」で見るべき映画はコレだ! オススメ3作品をレビュー

2018.07.13



こんにちは。レインボーライフ映画部です。
 
信じられないような暑さがつづいていますね。私は毎日、炎天下の外へ出ては「信じられない……もう何も信じられない……」とブツブツうわ言をいいながら歩いています(不審者)。
 
さてこの信じられない暑さをしのぐ一番の方法を、みなさんはご存知でしょうか。
 

そう、映画ですね。
 
冷房の効いた室内で、スクリーンで映画を見る。これほどプレシャスな時間はありません。
 
そんなプレシャスタイムを実現するのにうってつけのイベントが現在、東京都内で開催されています。
 
LGBT映画の祭典、
「レインボー・リール東京」です。
 
7月13〜16日にかけて、表参道のスパイラルホールでは短・長編あわせ20作品が上映されます。そのうち実に15作品が日本初上映。日本ではなかなかお目にかかれないレアなLGBT映画の傑作を楽しむ、絶好の機会です。
 
 
「そんなこと言われてもどれを見ればいいかわからない!」
「日本初公開だから検索しても情報が出てこないし……」
「ていうか暑すぎる……信じられない……」
 
 
ご安心ください。
 

レインボーライフ映画部のメンバーから、K野銀 シャリ子の2人がひと足早く、7月7日・8日におこなわれた上映を見てきました!
 
そこで鑑賞したなかから今回は、レインボーライフが自信をもってオススメする珠玉の3本をピックアップ。みなさまにご紹介させていただきます!
 
(全プログラム一覧はこちらからチェック!) 


 
ではさっそくいってみましょう。

レインボーライフ映画部・K野の推し作品はコチラ!

『アフター・ルイ』

K野です。今回鑑賞させていただいた作品はどれも本当にすばらしかったのですが、特に好きだったのがこの映画、『アフター・ルイ』です。
 

[あらすじ]

エイズ活動団体「ACT UP」のメンバーとして活動し、エイズ禍の時代を生き抜いたアーティストのサム。生き残りとしての罪悪感を抱える彼は、自由奔放に生きる現代のゲイを苦々しく感じていた。しかしある夜、 魅力的な青年とバーで出会い、彼との関係にのめり込んでいく。 

中年の危機と孤独

ニューヨークで暮らすアーティストのサムは、80年代に「ACT UP」の活動へ青春を捧げたゲイの一人でした。恋人のウィリアムをはじめ、数えきれないほどの仲間たちがエイズで死んでゆくさまを間近で見ながらも生き残ったサム。50代なかばとなった今でも、彼はその記憶から抜け出せずにいます。本業のアート制作もそっちのけで、「ACT UP」時代に撮ったビデオ映像の編集に日々を費やすサムは、まさに過去に生きる人間です。
 
「ACT UP」でともに戦った仲間たちも今は結婚していたり、パートナーと暮らしていたり、落ち着いた生活を送っている。すっかり丸くなりやがった。アート業界の奴らは若い才能にご執心で、自分の創作活動を理解してくれない。あの頃のことも、エイズとの戦いも、そしてウィリアムの死も、みんな忘れちまったのか。『アフター・ルイ』ではまず、一人で生きる主人公サムの孤独が描かれます。
 

恋人の死を乗り越えられない孤独な中年ゲイの話という意味で、この映画は『シングルマン』によく似ています。しかし『アフター・ルイ』のサムが抱える孤独には、「ACT UP」で経験した「闘争」の記憶が強く影を落としています。ですから私はこの作品を見て、ベトナム帰還兵モノの映画を見ているような感覚に襲われました。ニューヨークが舞台ということもあり、とりわけ『タクシードライバー』を彷彿とさせます。『チョコレートドーナツ』のアラン・カミングが体現する、サムの孤独が心に沁みます。

世代間の格差と「表現」の限界

そんな孤独なサムがある夜、バーで一人の青年と出会ってしまいます。いよいよ『シングルマン』っぽい展開ですね。ブレーデンという名の、親子ほども年の離れたこの若者に、サムは死んだ恋人ウィリアムの面影を見ます。さあまずいことになってきました。サムはブレーデンとの関係にはまってゆきますが、ここで巧みにあぶり出されるテーマが「世代間の格差」です。
 
 
サムが「ACT UP」のメンバーとして活動していた80〜90年代は、ゲイに対する偏見が今よりはるかに強い時代でした。彼らはゲイが平等な権利を得るために、文字通り命を賭けて戦ってきたわけです(「ACT UP」の活動については、今年公開された傑作映画『BPM ビート・パー・ミニット』をぜひご覧ください)。
 
いっぽうブレーデンはもちろん、その時代をリアルタイムでは経験していません。彼は恋人がいながらもオープン・リレーションシップを築いており、誰とでも自由に肉体関係をもつなど、ゲイとしての人生を十二分に謳歌しています。つまりこの若者はサムにとって、自分が命がけで勝ち取ってきたゲイの権利という「成果」そのもののような存在なのです。
 
それはサムにとって喜ばしいことのはずですが、しかし、彼は同時に、ブレーデンに対して複雑な感情を抱かざるをえません。「何も知らないくせに」と。抑圧されてきたゲイたちの怒りを、エイズで死んでいったゲイたちの痛みを、お前は知っているのか? 誰のおかげで今の恵まれた生活があると思っている? そんな気持ちを抑えられないのです。サムの世代ならではのアンビバレントな苦悩が、とてもうまく表現されています。
 
これだけでもすごいのですが、『アフター・ルイ』ではさらに、アーティストという因果な職業も大きなポイントになります。ほかの人が共有していない「経験」を、アーティストはどこまで表現できるのか? 表現者として、サムは当然この問題にぶつかります。そんな壮大なテーマにまで肉薄する『アフター・ルイ』がどのような結末を迎えるのか、ぜひ、劇場でたしかめてください。
 
 
 
 


さてさてもうひとりのメンバー、銀 シャリ子の推し作品はコチラ!

『プリンセス・シド』


[あらすじ]

父親との関係がうまくいっていない高校生のシドは、叔母の家で夏休みを過ごすためにシカゴへやってくる。正反対の性格の叔母と親睦を深めていくなか、シドはジョギング中に出会ったカフェの店員ケイティを意識しはじめる。悲しい過去を抱えた少女が思春期に体験する心の揺れを繊細に描いた青春映画。

 

16歳の夏休みと新しい土地、あとは恋のときめきがあれば、女の子はすぐに大人になっていく――。
 
はじめまして、銀 シャリ子です。
 
今回私が一番注目していた『プリンセス・シド』を鑑賞してきました。結果から言えば、最高の「青春 × ガールミーツガール」作品でした。

魅力あふれるカラーと深爪

まず注目してほしいのは、シドとミランダが日光浴をするシーン。上から見下ろすカメラワークは必見です。エメラルドブルーのタオルを敷いた真っ赤な水着のシドと、薄ピンクのタオルを敷いたラベンダー色の水着のミランダ。この配色がより2人のキャラを際立たせています。ビタミンカラーでまとめたエネルギッシュな印象のシドと、シックで大人な雰囲気の似合うエレガントなミランダ、もうこの色は2人のためにあるようなもの……。
 
さらにもう1つ、深爪も見逃せません。それもきれいな深爪ではなく、ちょっと雑に切られた深爪がまたエロスです。これがまたシドとケイティのラブシーンで映されるので、余計に色っぽさを引き立たせています。
 

一切出てこないLGBTワード

これがまた『プリンセス・シド』の素敵なところで、レズビアンとかゲイとかストレートとか、その人の属性を表す言葉が一切出てきません。
 
ケイティのことが気になるシドはミランダに、「秘密があるの」と打ち明けます。その際(カミングアウトかな……)と思ったシャリ子がアホでした。「わたし、ケイティとセックスがしたいの」。そうだよね、自分が何者かとかよりも、ケイティとセックスがしたいんだよね、と愚かな推測をした自分を恥じました。
 
また、シドがケイティのスーツを借りてミランダたちに会いに行くシーンも素敵です。ちょっと驚いた様子は見せるけれど、誰もシドを指さして笑ったり咎めたりしません。「似合うね」って、それだけ。個人としてそれぞれが尊重されるシド達の世界がまぶしく感じるので、要注意です。
 

運命の2人というロマンス

そして何よりシドとケイティの惹かれあう様は、きっといつの間にかどっぷりのめりこんでいくはずです。沼です。ビビビっと一目見たときからケイティに惹かれたシド、16歳という早熟な時期がその恋愛模様を掻き立てます。
 
2人のラブラブなシーンを挙げたらキリがないですが、何より屋上でダンスするシーンは思わずキュンキュンしてしまうこと間違いなしです。きっともっと早く距離を縮めたかったけれど、恋かわからないから行動には移さない。そんなじれったい2人は、向かいのビルで撮影をしていたカメラマンたちからお願いされて、ようやく手を取り、ステップを踏んでいきます。そのぎこちなさと、やっと触れられたという嬉しさ、はにかんだ表情など、もうTHE思春期です。
 
じれったい2人の様子を満喫したい方はぜひ『プリンセス・シド』がおすすめです!
 
 
 



 
 

 
  


 

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レインボーライフ映画部


ワカンダフォーエバー!!

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