アセクシュアル(無性愛)って?〜ノンセクシュアル(非性愛)との違い・アセクシュアルの誤解や悩み〜

 

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2017.06.15

アセクシュアル(無性愛)って?〜ノンセクシュアル(非性愛)との違い・アセクシュアルの誤解や悩み〜

アセクシュアル(無性愛)って何だ?



 
Rainbow LifeではLGBTという言葉を頻繁に使いますが、皆さんLGBT以外のセクシュアルマイノリティについてご存知ですか?
 
例えば、「アセクシュアル」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
ここではアセクシャルの意味についてご説明します。

 

◆アセクシュアル(無性愛)とは?◆


はてなキーワードでは、アセクシュアル(無性愛)を以下のように定義しています。
 
アセクシュアル(無性愛《むせいあい》とも)とは、『他者に対して恒常的に恋愛感情や性的欲求を抱かない』ことである。
無性愛の性質を持っている人のことを無性愛者、またはエイセクシュアル、ア・セクシュアル、Aセクシュアルともいう。略称として「Aセク」を使うこともある。”
 
 
(出典:Hatena Keyword アセクシュアル)  

つまり、アセクシュアルとは性別に関係なく、他者に対して恋愛感情や性的欲求を抱かないことです。

 

◆アセクシュアルって診断されるもの?◆


アセクシュアルは個人が自認しているセクシュアリティなので、基本的に他人が診断できるものではありません。

個人が恋愛感情や性的欲求を抱いているかどうかなんて本人にしかわからないはずです。

だから、あなたがアセクシュアルであるということを他の誰かが診断することなんてできないし、診断してもらう必要もないのです。

「自分はアセクシュアルだ」と思うならあなたはアセクシュアルです。

他の人がなんと言おうと、あなたのセクシュアリティはあなたのもの。

外部からの診断なんて必要ありません。


 

◆アセクシュアル(無性愛)とノンセクシュアル(非性愛)の違い◆

 
アセクシュアルとよく混同される言葉として、ノンセクシュアルというものがあります。
 
ちなみに、ノンセクシュアル(非性愛)は以下のように定義されています。
 
”非性愛(ひせいあい)とは、他者に対しての恋愛感情は有り得たとしても、恒久的に他人への性的欲求を持たないことをいう。 非性愛の性質を持っている人のことを非性愛者、またはノンセクシュアルという。略称としてノンセクともいう。”
 
 
(出典:Hatena Keyword ノンセクシュアル)
 

上記の定義にも書いてある通り、アセクシュアルは「他者に恋愛感情や性的欲求を抱かない」ことです。
 
一方、ノンセクシュアルは「他者に性的な欲求を抱かない」ことであって、恋愛感情は抱きます。
 
つまり、アセクシュアルとノンセクシュアルの共通点は「他者に性的欲求を抱かない」ことであり、異なる点は「他者に恋愛感情を抱くかどうか」です。
 
「他者に恋愛感情も性的欲求も抱かない」という場合はアセクシュアルで、「他者に恋愛感情は抱くけれど、性的欲求は抱かない」という場合はノンセクシュアルになります。

 
◆アセクシュアルが受けやすい誤解◆


アセクシュアル当事者の方から「アセクシュアルだとカミングアウトをすると、『冷たい人だ』と思われてしまうことがある」と聞いたことがあります。
 
Youtubeなどでもアセクシュアルの方がお話しているのを観ましたが、その方々も同じ悩みを抱えていました。
 
ここではっきりと言っておきます。
「アセクシュアルだから冷たい人だ」というのは大きな間違いです。
 
アセクシュアルの方は恋愛感情や性的欲求は抱きませんが、友情も愛情も抱きます。
 
愛情=恋愛感情と思われる方もいるかもしれませんが、恋愛感情だけが愛情というわけではありません。
 
例えば、家族愛なども愛情ですよね。
友情も、一種の愛情と言えるのではないでしょうか。
 
私はこれまで数人アセクシュアル当事者の方にお会いしましたが、私がお会いした方々は皆さん親切で、とても冷たい人とは思えませんでした。
 
逆に、恋愛感情があっても冷たい人はいますよね。
 
恋愛感情を抱くか否かとその人自身が冷たいかどうかは別の話なのです。
 
 
  ◆性的指向の種類◆  
 
日本ではまだLGBTという言葉自体浸透しきっておらず、性的指向の意味もあまり広く知られていませんが、海外では性的指向の種類がさらに細分化されて認識されている国もあります。
 
性的指向のことを英訳すると「Sexual Orientation」になります。
 
ですが、英語での「Sexual Orientation」は本来、性的欲求の指向を意味します。
 
英語圏では「Sexual Orientation」の他に「Romantic Orientation」という言葉もあり、これは恋愛感情の指向を指す言葉です。
 
日本では「Sexual Orientation」を「性的指向」と訳しており、性的指向の中に恋愛感情も性的欲求も含んでしまっている部分があるので分かりづらいですが、性的欲求と恋愛感情は別物なのです。
 
また、視覚的に「綺麗だな」とか「素敵だな」と思う感情も、性的欲求や恋愛感情とは別物です。
 
だから、アセクシュアルの人だって誰かを「可愛いな」とか「カッコイイな」と思うことはあるわけです。
 
ストレートの人だって同性・異性を問わず誰かを「可愛い」とか「カッコイイ」とか思いますが、その人と付き合いたいかというと、必ずしもそうではないですよね。
 
テレビでタレントさんを観て「イケメンだな」「可愛いな」と思っても、「付き合いたいかというと、またそれは別のハナシ」ってこと、結構あると思います。
 
(性的指向の説明はこちらをcheck!)

 
◆アセクシュアルの悩み◆
 
ストレートの人が多数派の世界では、思春期に「異性を好きになる」ことが前提とされており、中学校、高校などでは頻繁にこの前提をもとにした「恋バナ」が繰り広げられます。
 
女の子同士で「〇〇ちゃんはどの男子が好きなの?」とか、「彼氏いないの?」とか。
 
逆に男の子同士で「お前はどの娘が好きなの?」、「彼女いるの?」とか。
 
そして「好きな子とデートに行く」、「好きな子と手を繋いだ」みたいな話題で盛り上がったりします。
 
そして、アセクシュアルやノンセクシュアルに限らず、「恋人がいない人」に対して「早く相手見つけなよ!」とか、「いつかいい人が現れるよ!」のような言葉が投げかけられることがしばしばあります。
 
これらの言葉は悪意を持って発せられたものではないと思いますが、アセクシュアルの方にとっては辛い台詞である場合があります。
 
「誰かに恋愛感情」を抱くことが前提で会話が進められてしまい、「恋愛感情がない」という状態が全く想定されないからです。
 
これは「異性愛が前提とされている場」のみならず「同性愛が前提とされている場」でも起こりうることです。

 
  ◆恋愛感情や性的欲求はなくてはならないもの?◆  
 
セクシュアルマイノリティに関する理解が十分でない今の日本では、「恋愛感情や性的欲求がなくてはならないもの」のように扱われる場合があります。
 
「若いうちに性交渉を経験するのが一種のステータス」みたいな空気感があり、ある程度の年齢で性交渉を行ったことのない男性がいると、周りがそれを面白おかしくイジる、なんて場面を私自身目にしたことがあります。
 
けれど本来、恋愛感情を抱くのも、性的欲求を抱くのも本人の自由であり、無理に誰かと付き合ったり、性交渉をする必要はありません。
むしろ、アセクシュアルやノンセクシュアルでない方も含め、他者に誰かと付き合うことや性交渉をすることを強要する方が問題です。
 
私は、恋愛感情がコントロールできないように、恋愛感情を持たないという状態もまた、コントロールできないものなのだと思います。
 
だから、コントロールしようとしなくていい
 
他者への恋愛感情は「この人を好きになろう」と思って抱くものではないはずです。
 
「好きになっちゃったんだから仕方ない」なんて台詞をストレートの方からしばしば聞きますが、だったらアセクシュアルやノンセクシュアルの方に関して、「好きにならないのも仕方ない」って言っていいんじゃないかなと個人的には思います。そしてこれは今恋愛感情を抱く相手がいないストレートの人についても言えることではないでしょうか。
 
そして、恋愛感情や性的欲求がないことは悪いことではありません。
 
ストレートとして人生を送ってきて、中でも恋愛や出産などで強い幸せを感じてきた方が「あなたにも幸せになってほしい」という願いから恋愛すること勧める場合があるかと思いますが(同性愛者の方が恋愛を勧める場合もあるかもしれませんね)、自分にとっての幸せと他の人の幸せが同じであるとは限りません。
 
何を幸せに感じるかは人それぞれです。
だから、恋愛をしなくても、性交渉をしなくても、ちゃんと幸せになれる。
 
アセクシュアルでもノンセクシュアルでも他のセクシュアルマイノリティでも、セクシュアリティ以外のマイノリティ要素を持っていても、誰もがみんな幸せになる可能性を持っています。
 
まだまだLGBTという言葉すら浸透しきっていない日本ですが、アセクシュアルやノンセクシュアルなど、「LGBT以外のセクシュアリティ」についてももっとよく知られる状況が訪れるといいなと心から思います。

※定義以外の部分はあくまで筆者の意見です。
 

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