【イベントレポート】多様性を考える日仏討論会

 

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【イベントレポート】多様性を考える日仏討論会

2017.05.17
 
こんにちは!
実はフランス留学経験がある、佐野でございます。
 
今日は、5月14日に明治大学で行われた、多様性を考える日仏討論会に参加してきたので、その様子、特に同性間の結婚について討論された第一討論会をレポートしようと思います。
 
討論会は2部制で、第1討論会は「同性婚への道~日仏の視点から~」、第2討論会は「トランスジェンダーの人々の社会の中での居場所」という議題でした。
 

始めに、開会の辞として在日フランス大使館文化参事官のピエール・コリオさんと明治大学学長である土屋恵一郎先生が登壇されました。明治大学はLGBTフレンドリーな大学にするために動き出しており、今回フランス大使館とのこの討論会の共催に至ったそうです。

 
 


1部のパネリストは5名で、日本からはLGBT・セクシュアルマイノリティに関連する訴訟を数々担当している弁護士である山下敏雄さん、世田谷区長の保坂展人さん、タレントで文筆家の牧村朝子さんが登壇されました。
 
対して、フランスから来ていたパネリストさんはフランスで初めて同性パートナーと結婚した、プライドモンペリエの代表でもあるヴァンサン・ポアロ=オタンさんと、同性親の権利をフランスで初めて弁護した弁護士であるカロリーヌ・メカリさんの2名。

司会は明治大学教授の鈴木賢先生。

 


2部のパネリストはトランスジェンダー活動家で東京レインボープライド共同代表理事の杉山文野さん、同じくトランスジェンダー活動家の畑野とまとさん、東京大学教授の安冨歩さん、そしてフランス・パリ第八大学社会学者でトランスジェンダー当事者のカリネ・エスピネイラさんの4名。司会は朝日新聞記者の二階堂友紀さん。
 


 

フランスと日本の結婚制度の違い


まず、フランスの同性間の結婚の制度ってどうなってるの?という方向けに、簡単に説明します。
 

①フランスの現状


フランスでは、1999年PACS(パックス/民事連帯契約)という同性間でも適用可能な制度が作られました。法的な契約で、結婚には劣りますが様々な保障を受けることができます。異性カップルも結婚したら離婚をする手続きが面倒だからと、この制度を使っている人も多いです。結婚はせず、ずっとPACSを使う人もいます。

そして、PACSの成立から14年経った2013年、フランスで通称’みんなのための結婚’と呼ばれる同性間でも結婚ができる法律が認められ、異性のカップルと同じ権利、制度、保障で同性カップルも結婚できるようになりました。
 

②日本の現状


日本では、2015年に渋谷区と世田谷区で「パートナーシップ制度」という、同性のカップルの関係を証明する自治体の制度が始まりました。三重県伊賀市、兵庫県宝塚市、沖縄県那覇市、そして来る6月1日に北海道札幌市が加わり、今では6市区町村で交付されています。不動産や保険などの様々な契約のときにパートナーとして契約ができるなどの利点があります。しかし、法的に関係を証明できるものでもなく、その市区町村に住んでいないとそもそもこの制度を使うことはできません。また、一度取得してもそこの市区町村の外へ引っ越しをした際には返還が必要です。

また、パートナーシップですら全国で認められていない日本ではもちろん、同性婚の整備にも至っていません。同性カップルが法的に結婚を認められていないのはG7(フランス、アメリカ、イギリス、ドイツ、日本、イタリア、カナダ)の中で日本だけです。
 


 

フランスと’みんなのための結婚’

ヴァンサンさんは、フランスでの結婚の考えをこう語っていました。

「フランスでは、自由・平等・友愛という言葉が国の標語として使われています。その標語から見たとき、愛し合っているにも関わらず、結婚ができない人がいるという制度は本当に平等であるのでしょうか?結婚の権利も、離婚の権利も誰にも平等に与えられるべきなのです。’みんなのための結婚’の法律は、平等のシンボルです。そこから私たちは平等の原則を見つけ出したのです。今、その法は私たちの連帯感を高めるものでもあります。

明日のフランスの子供たちに、はく奪されていたこの権利をまた与えることができたこと、その一助ができたことを、私はとても誇りに思っています。また、’みんなのための結婚‘に反対している家族に生まれる子供たちに人としての権利を与えられることもとても誇りに思います。家族のために、今日の子供のために、そして明日の子供のために戦ったのは、私たちです。」
 

 

同性婚?みんなのための結婚?


牧村さんは、フランスと日本の同性間の結婚に対する考え方の違いについて言及されました。その中で「確かに!」と思ったものが一つ。

第1討論会の日本語の名前は、「同性婚への道」というものでした。フランス語では「Le chemin vers le mariage pour tous」つまり日本語にすると「みんなのための結婚への道」となります。

そして、今の記事を読んできた中で気づかれた方はいたでしょうか。フランス人のパネリストの方は、同性同士で結婚することを、必ず’みんなのための結婚’と言い、同性婚とは言わないのです。ヴァンサンさんの言葉を聞いても、フランスでは同性間の結婚の問題はセクシュアルマイノリティだけの問題として扱われていません。’みんなの権利’の問題なのです。
牧村さんは「日本では同性カップルの人たちだけの問題としてみなされているけれど、フランスは私たちの問題として考えている」とおっしゃっていました。

この言葉の通りだと思います。同性婚という言葉が一度浸透してしまった今、その言葉は変えることは難しいことなのかもしれませんが、異性カップルの人たちは、’同性間だけの問題’として捉えるのではなく、フランスのように’私たちの権利の問題’なのだと捉えることが必要だと感じました。
 
 

私たちだって離婚をする権利はある


そう書かれたプラカードを持った人が、’みんなのための結婚’のためのデモで行進をしていたそうです。
弁護士のカロリーヌさんはこう述べました。

「フランスには、異性の結婚と同様の結婚と、異性の結婚と同様の離婚しかありません。同じ権利、同じ義務が生じます。それが離婚であっても、異性と同じ離婚です。」

最近、同性パートナーシップを結んでいた芸能人の離婚が話題になっていましたが、それは何も異性の結婚の離婚とさほど変わりはないのです。結婚が異性と同じように扱われるならば、離婚も同じように扱われるべき。同性カップルも異性と同じように離婚をして、同じように制度の元で財産分与をして、親権を決めて……、そんな権利も同じく平等に付与されるべきであるのです。
 
 

権利は常に勝ち取るもの。与えられるものではない


これは、最後にカロリーヌさんがおっしゃった言葉です。

少しずつ少しずつ前進したフランスは、‘みんなのための結婚’の法律が採択されるまで、31年の時間を要しました。
では、日本はフランスと同じくらい時間がかかるのでしょうか?

それはきっと違います。私たちは、フランスのみならず、先に同性間の結婚が認められた23の国と地域から、パートナーシップ法がある28の国と地域から、その方法を学ぶことができます。30年の時間をかけなくとも、権利を取り戻すための法ができるはずです。

そのために何をしなくてはいけないのか。それは声を上げることです。立ち上がることです。カロリーヌさんが言ったように、私たちは権利が与えられるのを待つのではなく、動かなければいけません。
 

WRITERこの記事の投稿者

さのう

LGBTニュース深堀り!
スーパーアライへの道

海外旅行が趣味で、世界中のプライドパレードに参加してみたい!

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