手塚弥生さんインタビュー

 

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手塚弥生さんインタビュー

2017.04.21

〜手塚弥生さんインタビュー〜


当サイトのライターとしても活動をしてくれている、LGBTsコミュニケーターの手塚さんにインタビューをさせていただきました。
 

ご自身の経歴について教えて下さい 


 生まれは東京の国立です。父が会社で神奈川県・川崎で会社をやっていたので、生まれてから4、5歳までは川崎で暮らしていました。
その後両親が離婚し、母の実家が国立にあったため国立に戻り、大学卒業までは国立で過ごしました。
学生時代を含め、24歳までは男性としか付き合ったことがなかったです。
自身のセクシュアリティがパンセクシュアルであると気付いたのは24歳の秋、25歳になる直前でした。
 
 父が会社を経営、母は専業主婦。のちに離婚し、私と妹を引き取った母は経済的に父に頼らざるを得ない状況でした。そんな姿を見て育ったためか、小さい頃から「女性でも自活できる人になりたい」という思いを持っていました。そんな風に考える人は周りには少なかった。また、私は「あの大学で勉強したいことがあるから、その大学の付属高校に行こう」というように、目標を先に決めてそこから進路を逆算するタイプだったのですが、そういう思考回路の人も周りにあまりいなかった。昔から考え方の面でマイノリティだったんです。
そういった経緯があったからか、自分のセクシュアリティに気づいたときも比較的すんなりと受け入れられました。

 

セクシュアリティに関する考え方の経緯 


 中学校の時、生徒会長を務めることになったのですが、私が通っていた中学校ではそれまで女性で生徒会長を務めたことがある人がいなかった。だから、生徒会長挨拶のスピーチ原稿の雛形で使われている敬称が「生徒会長〜君」だったんです。その時、ジェンダー格差を感じました。女性がそれまで生徒会長を務めたことがないという事実が、とても衝撃的だった。それ以前にも、小学生の時からなんとなく、女性が社会的地位を得られていないことは感じていました。母のように、男性の経済力に頼らざるをえない女性を見たり、自分自身がこれまで女性がついたことがない地位につくことが多かったからか、昔からジェンダーに関する感度が高かった。当時未成年であった自分の「子供」としての社会的地位の低さも感じていました。だから、自分のセクシュアリティについて気づく前の大学時代から、ジェンダー論の授業を履修したりしていました。私の場合は「セクシュアルマイノリティだからジェンダーについて考える」というわけではなかったんです。私は「セクシュアルマイノリティだけがマイノリティではない」という考えを持っていますが、それも今お話したように様々な立場のマイノリティ性を感じてきたからなのかもしれません。

 

現在の活動をするまで 


 現在の職に就く前は、大手脱毛サロンの本社で働いていました。前職を辞めるとき、本当は転職しようと思っていたんです。転職して、「副業」のような形でLGBT関連の活動を進めようと考えていました。でも、日本では「副業」はあくまで「本職をしっかりこなしている前提」で許可されるものだと思ったんです。そう思ったとき、自分には「副業」程度のレベルでLGBT関連活動をすることはできないと感じました。もっと本格的に活動をしたかった。だから独立の道を選び、フリーランスとして今の活動に専念することにしたんです。

 

目指す社会像 

 
 誰もが意見を言える社会になればいいなと思います。
みんなが本音をちゃんと言える社会が一番健全な社会だと思うんです。
例えば誰かが人を傷つける言葉を言ったとして、その本人が「それは人を傷つける言葉だよ」とお互いに教え合える社会がいい。自分の意見が批判されるかもしれないと思ってナーバスになりすぎると、何も言えなくなってしまいます。けれど言わないと自分の中に不満が募っていってしまう。周りの目を気にしすぎると、どんどん自分の意見の優先順位が低くなっていってしまう。
むしろ誰もが自分の意見や思いを言い合うことで、改めて「やっぱりこれはしてはいけないことだよね」と気づけると思うんです。
 
 

マイノリティ性は、視点を変えればマジョリティに変わる 

 
 例えば、日本ではマジョリティだと思っていることでも、世界という単位でみたらマイノリティだということもありますよね。自分の友人でも、海外留学をした人は「アジア人」としてマイノリティ意識を感じたそうです。マジョリティかマイノリティかはどの視点から物事を見るかで変わってくると思うんです。これまで、どうやってこの考えを日本人に伝えるべきか考えてきた。でも、最近1本の動画を見て思うところがあったんです。
 
 その動画は国籍の違う様々な人に「あなたは何人ですか?あなたが一番相性が悪いと思う国はどこですか?」と問うところから始まります。すると、質問された人は「私はドイツ人が大嫌いで〜」のように答える。けれどその後、その人たちがDNA検査を受けると、自分が「嫌いだ」といった国のDNAが自分自身にも一部入っているということがわかるんです。
それを見て、ハッとしました。みんな国とか、民族という単位で分けられているけれど、実態は「様々な要素を持った人の集合」だった。この視点に日本人も気づければいいのになと思いました。個人的には、日本人って世界から見たらすごくマイノリティだと思います。けれどそれに気づいていない。その事実に気づきさえすれば、本当は日本人ってセクシュアルマイノリティの人たちが感じているマイノリティ性を一番わかりやすい民族なのではないかと思います。
 

 

筆者の感想 

 
ご自身の経歴や考え方について、細いところまで熱く語って頂きました。
筆者も実は留学経験があるので、「マイノリティ性は、視点を変えればマジョリティに変わる」という考え方に強く共感しました。マジョリティとマイノリティが視点によってコロコロ変わることを留学期間中にたくさん実感したから。この視点をもっとたくさんの人が持ってくれたら、社会は今よりちょっと、優しくなる気がしています。
 
 

☆手塚弥生☆

日本大学文理学部哲学科卒。 大手脱毛サロンミュゼプラチナムの本社に入社するも、2015年12月にLGBTsコミュニケーター&ボイスアーティストとしてフリーランスに転向。 24歳で性別関係なく人を好きになるパンセクシャルだと気付き、現在は9歳年上のレズビアン女性と同棲中。 2016年12月には、まだ同性婚が認められていない日本で、公正証書での結婚というオリジナル同性婚を果たす。

HP:http://rainbowcrew.jp
Twitter:@yasuu2867
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WRITERこの記事の投稿者

山梨


アライ日記


ストレートアライ。幼少期に男子のような洋服を好んで着ていたため、男子によく男子に間違えられていた。最近では、文京区にて交流会を開催中

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